
バイオリン製作を楽しむ
●バイオリン製作のきっかけ
小生がバイオリン製作に興味を感じたのは、小学生の頃で、同年代の徳永二男さんが全校生徒の前で演奏したバイオリンの響き渡る音に感銘したのがきっかけでした。いつの日か本格的なバイオリンを製作してみたいと夢を見る事になった。
少しずつバイオリンに関する資料を集める中でバイオリンの不思議にのめり込んで行くことになった。この不思議な楽器を科学的に追及できないものかと考えるようにもなってきた。特にバイオリンを科学的に追及したハッチンスとサンダース教授の資料には共感した。
●フュセンへの留学
しかし何だかんだ言っても製作技術の向上が重要で技術を磨く為にドイツのフュッセンへ留学することにした。無量塔蔵六親方のお話しではフュッセンはバイオリン製作で最も古い地であることを後日知ることとなった。
●その後の研究
バイオリンの研究を科学的に解明するために語られてきた事の検証から始めた。バイオリンの構造はシンプルで形、木材、ニスの複合作用であろうと検証を進めることにした。まずは音に関する基礎知識を学ぶために某大学の先生と共同研究をすることにした。先生の実験は実にシンプルで下敷きのシートに剥き出しのオルゴールで行うものでした。オルゴールの音が100mも離れて聞こえる現実を知ることになったがこの現象の原因は不明である。指向性に優れているため現在は地下鉄のスピーカーやオーディオに用いられている。
名器は古木であることから何らかの経時変化が起きていて音に影響を与える可能性を追求した。注目したのが木材の50%がセルロースの成分で時間が経つと結晶化することに注目した。当時開発中のセルロースのナノファイバーの結晶を某大学院の先生より頂き楽器の裏表に塗布してみた。
このようにかなり遠回りをしながら基礎実験を続けている次第です。木材の表裏の板の振動差による響きや音の変化の違いを検証している。この実験でも何台かの楽器を駄目にしている。
●ニスについて
昔からニスについてはストラドのニスが話題になっているが、近年の分析技術で主成分は判明している。ニス塗りはまだ慣れない当初は斑が発生し、斑消しのため30回以上塗っていた。しかし工夫することでその主成分を入れたニスで6回程度で塗り終える事が出来るようになった。ニスの種類や塗る回数や経時変化が音に与える影響は知るのには時間がかかる。
地道な基礎実験は何台も駄目にするのですが、何かが得られればと楽しみながら製作しています。